働くひとを知りたい

「挑戦を楽しみながら鉄骨フレームの図面を描くスペシャリストに」

株式会社マックス設計 呉 丹玉さん

本を通じて心に豊かさと楽しみを伝える『宮城県図書館』に、多彩なショップとオフィスを兼ね備えた『AER(アエル)』。
市街地の中でもひと際高くそびえる『住友生命仙台中央ビル(通称:SS30)』など、多くの人が利用する超高層建築物や大規模建築物の鉄骨設計をして、製作図を作成する会社が山元町にあるのをご存知ですか?
それが、株式会社マックス設計です。
東京・大手町や銀座、渋谷などにある鉄骨造の超高層建築物をはじめ、全国各地にある多くの施設や商業ビルの鉄骨設計を手がけています。

この会社で働いているのが、中国出身の呉 丹玉(ご たんぎょく)さん。
はにかみながらゆっくりと語る言葉の中には、建築の道を志し、日本で働くことを選んだ自身への強い意志と決意がありました。

留学生として来日してから8年。宮城県内の大学で建築を学び、2018年4月からこの会社で働いている

耐震について学ぶべく、憧れの日本へ

中国・大連(だいれん)市出身の呉さん。
幼少の頃からアニメやドラマに触れたり、自身の家族や親戚が留学していたりと、呉さんにとって日本はとても身近な存在でした。

「家族が留学を通して視野が広がっていたのを間近で感じていたので、小さい頃から私も日本に留学したいと思っていました。中国だけじゃない、別の国の雰囲気や文化も見てみたかったんです」

そして、大学での留学を決意。
2011年に来日し、日本語学校を経て大学に入学。そこでは建築、特に耐震についての学びを深めました。

「中国でも2008年に四川大地震がありましたが、建物の耐震性が低いことで多くの犠牲者が出ました。日本は世界で1番地震が多い国と言われていながら建物の耐震性はとても高く被害が小さいですよね。だから耐震について学びたいと思ったんです」

住宅地の一角にあるマックス設計。美しい木目を活かしたこの建物から、鉄骨造建築物の根幹となる鉄骨フレームの図面が作られている

CADに触れたことがこの道のきっかけに

大学に入学し建築の勉強を進める中で興味を持ったのは、パソコンで建築図面を作成する「CAD」。そしてその興味が、マックス設計との出会いにつながっていきます。

「外国人ということで不安もありましたけど、やっぱり自分がやりたいことを仕事にしたくてこの道に進みました。就職説明会の時には外国人を採用しているかどうかを最初に確認していたのですが、この会社では社長自らが“外国人を採用しないなんて考えていないよ“と言ってくれたんです。本当にうれしかったですね」

印刷された図面を手元に置きながら、CADでもチェック。「今はまだ簡単な仕事しかできませんが、難しい仕事はどうしたらスムーズに進むのか考えているところです」

風通しのよい職場で、気持ちよく働く

2018年4月、晴れてマックス設計に入社。
以降、リーダーと呼ばれる先輩社員と一緒にチーム体制をとりながら仕事に取り組む呉さんは、「この仕事には集中力が大切」だと語ります。

「別なことを考えていると、“あれ?どこまでやっていたっけ?”なんてことになってしまうんです(笑)。一度間違えてしまったら、最後まで間違ったままになりますからね」

職場は見通しよくデスクが配置されたオープンな雰囲気。
しかしながらスタッフそれぞれが黙々と作業できる環境でもあり、呉さんはその中で「優しい先輩に囲まれて毎日楽しい」と語ります。

「先輩たちはみんな優しくて、わからないことがあると何度でも教えてくれます。毎朝チームごとに打合せもあるのでコミュニケーションも取りやすい。みんなが何かと気にかけてくれることもあって、とても気持ちよく働くことができています」

チームのリーダーであるマネージャーの三橋さんと共に図面を確認。進捗状況も常に共有することで、無理のない範囲で仕事にあたることができるという

ミスがないよう、細心の注意を払う

呉さんは今、先輩たちのスキルに追い付こうと、目の前の仕事にまっすぐに取り組むことで土台を固めています。
もちろんその中には、大変なことも数知れず。
人の命を守り、安全・安心な環境を生み出す仕事だからこそ、少しのミスも許されません。

「今はまだ簡単な図面を描くことしかできませんが、私が図面を間違うとそれをチェックする先輩に迷惑がかかってしまう。それに、私が間違って作った図面を元に鉄骨フレームを作ってしまったら、その工場にも迷惑がかかってしまいます。だから図面を描く時はいつもミスがないかドキドキしますね。4月からは私も先輩になるので、いろんな資料を見たりしながらミスがないようにしていきたいです」

「図面上から立面を想像するのが難しい」という呉さん。溶接や継ぎ目の箇所などは、モデルを使ってしっかりと確認することを欠かさない

選ぶなら、経験を積める難しい仕事!

日々、覚えることがたくさん。
しかし新しいことの連続の中に、呉さんは楽しさも見出します。

「新しい仕事ができること。それが自分にとって一番うれしいんです。将来取ろうと思っている資格のためにも、今、経験を積んで視野を広げていきたい。同じ仕事をしたままだと自分が進んでいないと感じるし、つまらないじゃないですか」

上司から“簡単な仕事と難しい仕事、どっちがやりたい?”と聞かれたら、「難しい方を選びますね」と語る呉さん。
「考えない仕事なんて、つまらないです」と、柔和な表情と穏やかな口調ながらキッパリと言い切る姿が印象的です。

取材をした昨年末のとある日。呉さんのデスクの上には、何十枚もの図面があった。小さな文字で細かく指示が書かれた図面を、1枚ずつ丁寧に確認していく

一人前になるためにもっと勉強がしたい!

そしてこの仕事をしてから、自身の性格がよりアグレッシブになったと感じているそう。

「入社してから鉄骨フレームの図面は簡単ではないとわかったんです。そのことがきっかけで、もっと勉強しなきゃと思えたし、将来一人前になるためにもっと知識を付けないと、と思いました。今のまま成長しなければ、周りのみんなに迷惑をかけてしまう。私はこの会社で初めて採用された外国人なので、頑張らないと社長もがっかりしちゃいますからね」

呉さんと談笑する代表取締役の成田さん。呉さんが抱いていた「日本で働きたい」という想いに応え、その門戸を大きく開けてくれた立役者だ

先輩たちのような、知識に溢れた人になりたい

4月には後輩もでき、鉄骨造の図面を描くスペシャリストとして、また新たなステップを進む呉さん。
これから挑戦してみたいことを聞いてみました。

「これまでやってこなかった仕事に挑戦していきたいです。わからないことは先輩に聞いたり、モデルを見て勉強したり。図面でわからない形は紙を折って形にしてみたりと、自分なりの方法で成長していきたいです。そして、仕事をしながら資格を取りたい。もっと知識を増やしたいし、先輩たちのような立派な人になりたいと思っています。建物はみんなの命を守るもの。だからこそ、知識不足にだけはなりたくないですね」

(2018/12 取材 ライター:及川恵子)

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呉 丹玉さん 株式会社 マックス設計

プロフィール
日本の大学で建築の勉強を進める中、興味を持ったのはパソコンで建築図面を作成する「CAD」でした。そしてその興味が、マックス設計との出会いにつながります。

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