働くひとを知りたい

リーダとして、影響力のある人になりたい!

株式会社イエムラ 周 謙さん

金属加工のプロフェッショナルとして、ステンレス製のドアや手すり、サッシの設計から製造、施工までをワンストップで行う株式会社イエムラ。

職人によって丁寧に手づくりされるその特注品の数々は、公共施設や大型ショッピングモール、駅といった、私たちに身近な多くの場所で使用されています。
例えば仙台駅西口のペデストリアンデッキ。あの手すりもまた、イエムラの仕事です。

そんな街で輝く多くの製品を手掛けるこの会社で、2018年10月から働いているのが台湾出身の周 謙(しゅう けん)さん。来日から約半年。流暢な日本語で会社の、そして自身の将来のビジョンをイキイキと話す彼女の言葉一つ一つには、未来への希望があふれていました。

言葉の壁を感じさせず、とても流暢に日本語を話す周さん。独学というから驚きです。ピカピカの看板はもちろんステンレス製

迷っていたら一生動けない! 日本行きを即決

台湾の大学を卒業後、以前から勉強していた日本語と英語を生かしたいと、地元の日系企業に就職した周さん。しかし2年ほど経った頃、日本で働いてみたいとの気持ちが大きくなり、札幌の人材派遣会社に勤める先輩を頼りにアクションを起こします。

これまで日本へは旅行や大学の実習で訪れたことはあったものの、留学経験すらない日本での暮らし。ましてや働くことについて、迷いや不安はなかったのでしょうか。

「本来自分は、すごく慎重で先の先までシミュレーションしないと不安で動けないタイプ。でも不思議と、日本行きに関して迷いは一切ありませんでした。たぶんそれは、年齢的なものも大きかったかもしれないですね。30歳を前に、『人生を変えるなら今だ、ここで躊躇したらきっと一生動けない!』、そんな思いの方が強かったように思います」

一度決めたら貫き通す。そんな娘の性格をよく知っているご両親も、心配しながらも快く日本へと送り出してくれたそうです。

この工場がイエムラの要。私たちが街中で普段何気なく触れているドアや手すりも、もしかしたらここで生み出されたものかもしれません

イエムラが手掛けるのは、毎回が特注の製品ばかり。職人の技術力が問われます

新規事業の一翼を担う 充実した日々

来日を決意し、いくつか日本の企業を紹介してもらう中で、最初はなんとなく興味を引かれた程度だったというイエムラ。しかし実際に社長と会って話をしてみると、周さんの求める働き方と社長が求める人材がピタリと合致。

「こんな言い方をしたら失礼かもしれませんが、社長とすごく気が合って(笑)。『ここでなら』、そう直感して入社を決めました」。

現在はイエムラが見据えるグローバル展開に向け、通訳や翻訳はもちろん、さまざまな情報収集や現地調査など、社長の右腕として新規事業の大切な一翼を担っています。

「エネルギッシュでアイデアにあふれる社長をはじめ、こちらに来て感じるのは皆さん素晴らしい考えを持ち仕事ができる人ばかりということ。一方でもったいないと思うのは、グローバル化や英語に対する苦手意識ですね。そういった部分も理解しながら、私なりに外国人としての視点を生かし、今後の可能性を模索したりコネクションを作ることでサポートできたらと思っています」

いかに効率よく仕事をこなすか、常に段取りを考え業務に取り組んでいるそう

仕事以外の部分でも、常に気遣ってくれる女性スタッフの皆さんは、周さんいわく「日本のお姉さん」。信頼関係もばっちりです

二足のわらじも何のその! 社外での学びが即実践に

時には海外出張などもこなす多忙な周さんですが、仕事の傍らビジネススクールに通い経営やリーダー育成についても学ぶ日々。これは人材育成に力を注ぐ、社長の考えがあってのことだそうです。

「面接の時に、経営や管理に興味があるという話はしたのですが、会社としてこういった学びの機会を与えてくれたことに本当に感謝しています。グループワークやレポートの提出など、読み書きを多く伴う授業は苦労もありますが、そこでの学びが即、日々の業務に役立てられることにやりがいを感じています」

年代も業種もさまざまなスクール仲間との交流は、時にプライベートに及ぶことも。先日は山形へのドライブを楽しみ、肉そばなど地元の味に舌鼓を打ってきたそうです。

社長と社員の皆さんをつなぐ架け橋でありたい

「仕事をする上で、一番大切にしていることは?」
そんな問いに対し、「コミュニケーション」と即答してくれた周さん。
そのうえで社長以下全員が同じ方向を向いてこれからも前進するために、社長と社員の真ん中をつなぐ役割=架け橋でありたいと願っています。

「経営者として、スピード感をもってさまざまな事を考え実行しようとする社長に対し、社員の中にはそのスピードについていけず、なぜ今それが必要なのか、理解しきれないまま業務をこなす人が出てくることもあると思うんです。そんな時、社長の考えを理解し、私なりに社員の皆さんに方向性を示すことができたら…。そうすればいい形でまた前に進むことができるのかなと思っています」

もともと通訳を目指しながらも、単に言葉を変換するのではなく、もう一歩踏み込んだ何かができないかと考えていたという周さん。現在の立場はまさに、そんな理想とする仕事の在り方を実現するチャンスとも話します。

気さくな職人さんたちともすっかり打ち解けた様子の周さん

夢は女性グローバルリーダーのロールモデル!

「大きすぎる夢というか、ホント野望なんですけど…」と謙遜しながら話してくれた周さんの未来像は、女性グローバルリーダーのロールモデルになること。
「それは何も大企業でリーダーシップをとるとか大それたことではなくて。例えば台湾の女性誰か一人でも、『周さんのようになりたい』と言ってくれたらうれしい。海外で働くグローバル人材として、自分の言葉や行動が誰かに影響を与えられる女性になることが理想です」

そんな周さん自身が憧れる女性は、強くて美しくて、仕事もできるお母さん。「あなたが楽しい、幸せだと思うことをすればいい」と、常に周さんの生き方を尊重してくれるその存在は何よりのパワーに。今の日本での充実した日々を、誰よりも喜んでいるのもまたお母さんに違いありません。

毎日午後3時からの15分間は休憩タイム。つかの間のおしゃべりに花が咲きます

ありのままの自分でいられる宮城・仙台が大好き

「宮城・仙台の人は、いい人すぎるくらい親切。本当に温かく接してくれるんです」と、人に恵まれたおかげで、毎日の仕事も暮らしも、ありのままの自分でいられると話す周さん。
台湾から日本への転職、そのハードルは決して低くはなかったはずですが、日本で働く最初の土地がこの地で良かったと笑顔を見せます。

「もちろん企業にもよると思いますが、東京などで働く友人の中には、人間関係のプレッシャーや暮らしなど、業務以前の部分で大きなストレスを感じている人も多いんです。大都会の方が外国人にとって入り口のハードルは低いかもしれないけれど、本当の意味でなじむのは簡単ではありません。でも宮城は、自分の個性をしっかり持ってオープンマインドで飛び込めば、温かく受け入れてくれると実感しています。これから宮城や仙台で働きたいと考えている外国人には、ぜひ恐れず飛び込んでとアドバイスしたいですね。」

(2019/3/15取材 ライター:渡邊 綾)

周 謙さん 株式会社イエムラ

プロフィール
台湾中部に位置する台中市出身。10代の頃、日本の男性アイドルグループのファンになった事をきっかけに、独学で日本語を学び始める。日本に来てからのマイブームは日本酒。「宮城のお酒がおいしくて。いろいろと飲み比べを楽しんでいます(笑)」

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