働くひとを知りたい

画面の向こうの犯罪を突き止める、サイバー捜査官

宮城県警察本部 生活安全部サイバー犯罪対策課 Kさん(仮名)

多くの人の生活に欠かせないパソコンやスマートフォン。
端末そのものだけでなく、アプリやSNS などは生活を楽しく便利にする一方、犯罪の舞台になることも少なくありません。

今回登場するKさんは、コンピューターネットワーク上で起こる「サイバー犯罪」を防ぎ、検挙活動を行うサイバー捜査官。
エンジニアとしてのスキルを活かし、宮城県警察に転職。今では複雑多岐にわたるサイバー犯罪の対策に欠かせない存在です。

「自分のステップアップのために」と、歩む道を宮城県警察へとシフトさせたKさん

「ラストチャンス」と飛び込んだ採用試験

大学卒業後、インターネット関係のエンジニアとして民間企業で働いていたKさん。
ネット関連の仕事をする中、サイバー犯罪に巻き込まれた人から相談を受けたり、コンピューターウィルスに感染したパソコンを直したりしているうちに“さらにこの分野で上を目指せないものか”と思ったそうです。

「そう思い始めた頃、宮城県警察本部でサイバー捜査官を募集していることを知ったんです。年齢制限は35歳。当時34歳だった私は、ラストチャンスだから一度くらい受験してみようと思って応募しました」

民間企業から警察への転職…。
“なかなかハードルが高いのでは?”という印象を受けますが、Kさんは目の前にあるチャンスをしっかりと受け止めます。

「以前も受験を考えたこともあったのですが、ハードルが高いな、と思って結局受験しなかったことがあるんです。でも年齢的に最後だし、受けてダメだったらその時また考えようって(笑)」

そして公務員試験の猛勉強を経て、無事試験に合格。
1年ほど警察学校で基礎を固め、交番勤務なども経験した上でのサイバー犯罪対策課への配属となりました。

「警察学校では私より一回りも下の人たちとの学校生活でした。法律や教養を学ぶ以外に武道を習う授業もあって、まさか35歳で初めて剣道を習うことになるとは思わなかったですね(笑)。武道はまったくの初心者という学生もたくさんいたので、経験のある学生でフォローし合うこともありました」

Kさんが働くサイバー犯罪対策課。宮城県内におけるサイバー関連の問合せがすべてここに集まる

「困っている人の役に立てる。それが大きなやりがい」

この仕事を始めてから5年。
今では宮城県内のサイバー犯罪対策のスペシャリストとして頼もしい存在になっているKさんの元には、
「悪い書き込みをした人はどんな手続きを踏めば探すことができる?」
「SNSの画面を証拠にするにはどうしたらいい?」
「このSNSの問合せ窓口はどこ?」
など、日々、県内の警察署からたくさんの問合せが届きます。時には、実際に現地に赴いて対応することもあるのだとか。

そんな日々を送るなか、仕事のやりがいについてKさんはこう語ります。

「民間企業にいた時は、サイバー犯罪に遭わないようにする仕事はできたものの、被害にあった後の対応としてできることには限界がありました。しかしこの仕事では最終的に困っている人の役に立つことができるし、その先の犯人を捕まえることにつなげられる。それは大きなやりがいだと思っています」

1日の大半を問合せ対応に費やす。最近ではSNSに関する問合せが多いという

エンジニアのスキルを、犯罪捜査に活かす

「宮城県警察本部で働く」と聞いて、どんなイメージを持つでしょうか?

常に緊張感のある雰囲気の中で仕事をする?
働く人はほとんど体育会系?
毎日夜遅くまで残業ばかり?

いまだに昭和時代の刑事ドラマのような印象を持つ人も多いかもしれませんが、サイバー犯罪対策課ではそんなイメージの多くは一新され、風通しのよい職場環境に。
Kさんのように民間企業から転職をしてきた人も多く、いろんなバックボーンを持った人が勤務しています。

「サイバー捜査官はエンジニアから転職してきた人が多いですが、サイバー犯罪対策課にはそういう技術を持った人だけじゃなくて、一般の警察官も勤務しているんですよ。最終的な目的は犯人を捕まえること。だからこそ、エンジニアの技術と警察官の捜査力の両方が必要になってくるのです。それぞれのスキルを活かしたコラボレーションですね」

作業は他の職員と一緒に行うことも多いとか。意外なことに、課内は賑やかな雰囲気だという

これまで積み重ねたスキルと、たくさんの経験を武器に

「特別な能力がないとサイバー犯罪対策課で仕事をするなんて難しそう…」と思うかもしれませんが、求められるのはエンジニアとして培ったスキル。そして、チームで横並びとなって仕事に取り組む姿勢です。

「エンジニアの技術は幅広いので、どうしてもひとりですべてを補うことはできないんですよ。エンジニアそれぞれに得意分野があれば、苦手な部分を教え合える。だからひとつでも得意な技術を持っている方にこそ、この仕事を目指してほしいですね。事件もいろいろな種類があるので、たくさんのことを経験してきた人の方が合うんですよ。意外な経験が役に立つこともありますし、それが強みになりますからね」

エンジニアの中でもプログラムに詳しい人もいればネットワークに詳しい人もいる。そして、今や誰しもが手にしているスマホの知識に長けた人もいる。
それぞれの得意分野を補いながら高め合うという環境の中で、たくさんのスキルと個性がサイバー犯罪対策課を支えています。

パソコンなどの機器を分解するのに使用する精密ドライバーセットは、Kさんの大切な仕事道具

求む、粘り強く探究心の強い人!

犯人を突き止めるために、自身のスキルを活かす。
想像するだけでも仕事のやりがいの大きさに身が引き締まりますが、そのためにはどんな思いで仕事に向き合うことが大切なのでしょうか。

「もちろん技術も必要ですけど、疑問をとことん追求できる人は向いていると思いますよ。何かあったときに、“ポイッ”と投げ出してしまう人よりは、粘り強く調べたり、わからないことをちゃんと自分なりにわかろうと向き合えたりできる人は向いていると思いますね。あとは物事を筋道立てて考えられる人でしょうか。警察の仕事では、犯人がこういう理由でこの事件を起こして、こんな犯罪を犯したんですよと、検察官や裁判官にわかるように説明をしないといけません。そのあたりの物事を順序立てて説明できる人は向いているんじゃないかと思いますね」

休みの日は車やバイクでふらっと遠出することもあるというKさん。仕事に関するリサーチをすることも多いという

社会に必要とされる仕事。諦めないでチャレンジを!

年齢制限はあるものの、スキルさえあれば女性でもおおいに活躍できるこの仕事。
特定の資格がなくても、「その資格に類する経験を持っている」という条件をクリアすれば、“世のため・人のため”に活躍できる場がそこにはあります。

「だから、“資格がない”と諦めないで、とりあえず応募してもらえたらうれしいなって思うんです。難しい仕事ではあるけれど、今の社会に必要とされている仕事。やりがいはおおいにあるので、ぜひチャレンジしてもらいたいですね」とKさん。

ストーカーやDV、オレオレ詐欺のような特殊犯罪なども含め、犯罪の予兆を掴み、犯罪を未然に防ぐこの仕事は、今も、そしてこれからも、絶対的に社会から必要とされるはず。
これまで会社のために働いてきたエンジニアの方。
これからはその素晴らしい腕前を犯罪捜査に活かしてみる、という選択肢を考えてみるのもいいかもしれません。

「警察には、“人を育てよう”という体制ができていると思います。大変な仕事ですけど、飛び込んでみてほしいです」

(2019/5/24取材 ライター:及川 恵子)

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Kさん(仮名) 宮城県警察本部

プロフィール
コンピューターネットワーク上で起こる「サイバー犯罪」を防ぎ、検挙活動を行うサイバー捜査官。
エンジニアとしてのスキルを活かし、宮城県警察に転職。
今では複雑多岐にわたるサイバー犯罪の対策に欠かせない存在です。

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